top of page

【最新版】皆が絶賛する企画書の書き方(外資系コンサルタントが駆使する考え方実例有)



当記事では、タイトルにもあるように、だれも教えてくれなかった「必ず通る企画書の書き方」を解説したいと思います。持続的に企業・事業を成長させていくためには、事業機会創出/オペレーション効率化等のための「企画書」や、新規案件獲得のための「提案書」の作成は避けられないかと思います。


ですが、企画書・提案書の作成に関して、プロフェッショナルから適切な指導を受けたことがある人材は多いとは言えず現場で試行錯誤しながら作成し、技術習得をしているのが実情ではないでしょうか。その結果、作成したはいいものの、検討内容自体に抜け漏れがあったり、納得感のないストーリー構成となってしまっていることで、下記のような問題が起こっている事例をよく目にしてきました。


例えば、

  • 関係者の合意・意思決定を円滑に取り付けられず、無駄な資料作成や手戻りが頻発した

  • 経営陣に企画の内容をうまく伝えられず、企画自体がボツになってしまった

  • 顧客に提供商品/サービスの価値をうまく伝えられず、何度も失注した 等


そこで当記事では、企画書や提案書を無数に書いてきた「元外資系コンサルタント」の知見をふんだんに盛り込み、「企画書の書き方」を解説したいと思います。



そもそも「企画書」とは


そもそも企画書とは何なのでしょうか。私は、企画書を「現状の課題や市場環境の変化を踏まえ、今後必要となる新規の取り組み案を落とし込んだ社内意思決定用の施策資料」だと考えています。例えば、下記のようなものが企画に該当するかと思いますが、「企画」は属している業界・業種等によって、無数に存在します。

  • ブロックチェーンを活用した新規事業企画

  • 人件費削減へ向けた報酬制度の見直し企画

  • 海外展開を見据えた組織構造の変革企画

  • AAA社 事業計画



「企画書」「事業計画書」「提案書」との違い


上記画像にあるように、ビジネスで用いられる資料は、大きく下記3つで分けられます。

  1. 企画書

  2. 提案書

  3. 報告書


企画書は前段で見たように、「現状の課題や市場環境の変化を踏まえ、今後必要となる新規の取り組み案を落とし込んだ社内意思決定用の施策資料」のことでした。事業計画書はざっくりと言えば、上記企画書に含まれると考えてよいでしょう。



事業計画書とは

事業計画書とは、企画書の内容を具体的な計画レベルまで落とし込んだものであり、それが事業として収益を生み出す単位として考えられる際に作成されます。


例えば、下記のようなものです。

  • 会社単位:AAA社 事業計画書

  • 事業部単位:BBB事業 事業計画書



具体的な事業計画書の書き方は下記記事をご参照ください。



提案書とは

提案書とは、「他社(含. 顧客)に対する自社/自社サービス・製品の訴求資料」と定義できます。(※ラフな企画書と定義されることもあるが、社外向け資料と定義されます)


つまりそれは、顧客(主にB2B)に対して、製品/サービスを導入・購買してもらう際に、訴求ポイントや価格等をまとめた資料です。


また、事業拡大等を目的として、他社に対して協業・提携等を提案し、提携時のシナジーや提携スキーム等をまとめた資料等のことも指します。


例えば、下記のようなものです。

  • クラウド会計サービス「CCC」 導入のご提案

  • Webマーケ支援のご提案

  • コスト削減支援のご提案

  • 富裕層領域取り込みへ向けた協業のご提案


報告書とは

報告書とは、「企画書・提案書内の取り組みの成果・進捗に関する説明資料」のことです。


提案書でプロジェクト等を受注した場合には、報告書を「提案先」に提出することとなります。社内での企画書であれば、中間や最終の報告書を「社内経営陣」 等に共有することとなります。


提案書や企画書で組成されたプロジェクトについては、プロジェクトのキックオフ以降は、通常マイルストーンごとに成果・進捗が報告され、次回のマイルストーンまでのアクションも示されます。


例えば、下記のようなものです。

  • 報酬制度見直しの中間報告書

  • XX領域強化へ向けた買収候補ソーシング状況の報告


私はこれまでに外資系コンサルタントやフリーランスの経営コンサルタントとして、大企業~中小企業~スタートアップに至るまで、すべてのフェーズの企業を支援してきました。そこで、事業計画書作成を実際に手がけたり、事業計画書の書き方のコンサルティングを行なってきました。


より魅力的に映るような事業計画書作成のコツであったり、皆さまが実際につまづく箇所を熟知しておりますので、是非安心して当記事を読んでいただけたらと思います。事業計画書にとどまらず、企画人材の根本スキルである「企画書・提案書作成の考え方・実務」と「資料作成高速化」を伸ばしたい方には【個人利用】資料作成の実務を販売しております。資料作成力・ロジカルシンキング力を強化していきたい方、資料作成スピードを爆速化させたい方におすすめの内容となっておりますので、是非ご検討ください。

 



「企画書」の目次


企画書の最低限の構成要素としては下記です。このほかにも必要な項目もありますが、それは場合により判断し、追加していく流れかと思います。


  1. 背景・目的

  2. 今回やりたいこと

  3. 上記の理由・サポート情報

  4. 実施した際のインパクト

  5. 必要リソース・体制

  6. 実現までの時間軸 等


経営陣や部長レベルが納得し、気持ちよく意思決定できるように、企画を行なう際には少なくとも上記の内容を網羅しておく必要があります。提示された「企画案」の中身に関して、判断に必要な情報で抜け漏れがあった際には、再リサーチの必要性や作業の手戻り、最悪の場合にはせっかくつくった企画がボツに追いやられるケースもあります。



「企画書」の具体的な中身


それでは、一つ一つ上記目次に沿って説明していきたいと思います。



1. 背景・目的


まずは、当企画を行なうにあたっての背景と当企画・企画書の目的を箇条書きでもよいので、シンプルに示しましょう。


弊社コンテンツの例で大変恐縮ですが、下記画像のように「背景」と「目的」という形で構造的に分け、ビュレットポイントで簡潔に示すというやり方を外資系コンサルタントはよく行ないます。





2. 今回やりたいこと


※わかりやすく、「今回やりたいこと」と、このように表現していますが、実際は「企画案」等の名称に変更してもらえればと思います


何より重要なのが「2. 今回やりたいこと」となります。具体的に、どの領域/機能で、何を行なっていくのかを具体的かつシンプルに示しましょう。企画は大まかに、下記2つに分けられると思います。

  • 「マイナスな状態」を「正常・プラスな状態」にもっていく

  • 「正常・プラスな状態」を「さらなるプラス」にもっていく


一つ目の「マイナス状態の改善」の企画・提案に関しては、現状を正しく理解することが先決です。正しい現状認識の下、原因深掘・課題設定を行ない、問題の根源を解消する打ち手を立案しましょう。二つ目の「プラス状態のさらなる発展」の企画に関しては、未来に対する独自の洞察が企画・提案のユニークネスを左右します。来るべき未来を見据え、自社/顧客がいかなる変化をすべきかを提示しましょう。


例えば、「人件費削減へ向けた報酬制度の見直し企画」を行なう際には、「人件費の状態が他社平均等と比べ、悪い(≒ベンチマークと比べ、構成比が高すぎる)」というマイナスな状態があって、「報酬制度を見直す」という企画によって、改善を図るといったことが考えられます。また、その企画が「最も人件費の改善に寄与する」という前提のもと、経営陣等に提示することになるかと思います。当パートでは、「報酬制度」をどのように見直すのかを具体的に示しましょう。報酬制度の見直しなので、例えば下記のような施策を説明する感じでしょうか。

  • 昇給額を10%引き下げる

  • 各グレードの給与レンジを主要競合であるXXXと同等まで落とす

  • 変動インセンティブの掛け目をXX%下げる

加えて、上記施策を実現する上で、具体的に何を行なっていくべきなのかも併せて記載・表現するようにしましょう。



3. 理由・サポート情報


「2. 今回やりたいこと」をただこれがやりたいです!と叫ぶだけでは、だれも意思決定などできません。「今回やりたいこと」をなぜやるべきなのかを収集したファクト情報を構造的に整理しながら、より説得力あるストーリーで伝える必要があります。例えば、「自社の営業生産性を向上させるために、何らからのSaaSプロダクトの導入を考える」という企画書には、少なくとも下記には答える必要があるでしょう。


  1. 導入によって、自社にどのようなインパクトがあるのか

  2. 導入にあたってのハードルは高くないか


また、「新たな市場への参入」の企画に関しては、

  1. その市場が他の市場と比べどのくらい魅力的なのか

  2. 自社として参入して勝てるのか

  3. 参入にあたっての難易度は高くないか

といった論点に対する答えは収集しておく必要があります。上記論点のカバー範囲とその深さが甘いと、経営者や部長レベルは判断・Go/No Goの意思決定ができません。つまり、いかにおもしろい企画であっても、それが「なぜやるべきなのか」という情報もセットでなければ、それはボツ企画になってしまうということです。「企画」を行なう際には、何をサポート材料として提示できれば、納得し、気持ちよく意思決定してもらえるかを一度考えてみましょう。



4. 実施した際のインパクト


ここでは企画案を実施した際のインパクトを定量的に表現します。例えば、人件費水準適正化のための報酬制度の見直しの事例だったら、下記のような施策を実施した際に、

  • 昇給額を10%引き下げる

  • 各グレードの給与レンジを主要競合であるXXXと同等まで落とす

  • 変動インセンティブの掛け目をXX%下げる

「どのくらい総額人件費が引き下がるのか」ということがインパクトとして表現されるはずです。また、「他の市場への参入の企画」だったら、参入した際に創出できる「売上高」や「新規顧客数」となるでしょう。加えて、必要コストまで計算できているのであれば、「貢献利益」といったことも示すことができるはずです。



5. 必要リソース


企画案、サポート情報、インパクトを表現できたら、その理想的な企画案を実施するためにどれだけのヒトとカネが必要なのかも定量的に表現しましょう。企画案が大規模なものだった場合、一人の力じゃ実現できないはずです。実現へ向けて、どこの部署の×どのような人材が×どれだけ必要なのか、をその理由と共に表現しましょう。


ここでしっかりとリソースを要求できていなければ、素晴らしい企画案を作成できていたとしても、その実現が大変困難となってしまいます。大企業でよくある例ですが、新規事業案を全社として考えさせたときに、いくつか良い案は出るのですが結局実現せず、消えていったということが多々あります。結局、できない理由/やめたほうがいい理由をあげることのほうが簡単なので、企画の実行状況が芳しくなければ、「費用対効果が!」「別にもっと取り組むべきことがある!」だの社内の評論家から刺されてしまう結果につながります。そのため、企画の実行を十分のものとするため、必要となるリソースは過不足なく集めておく必要があるのです。



6. 実現までの時間軸


最後に、実現までの時間軸です。ここでは企画案を実行した際に、「いつまでに」×「なにをやっていくのか」を表現しましょう。そして、一定の期間ごとでマイルストーン(中間報告、最終報告)を設定し、そこでどのようなアウトプットを出す想定なのかも併せて表現しましょう。




「企画書」の書き方のポイント


企画書作成のポイントは、「顧客/自社の現状・今後の見立てを踏まえた「解」を、納得感のあるストーリー・スライドでクリアにメッセージングできるかどうか」となります。そしてそれは、「円滑に合意・意思決定を獲得するための条件」となります。具体的には、「What:何を伝えるか」×「How:どのように伝えるか」の二つを漏れなくおさえておく必要があります。まず、「What:何を伝えるか」ですが、「顧客/自社等の現状や今後の見立てを踏まえ、必要な打ち手(企画・提案)を導出できているか」がポイントとなります。

  • 顧客/自社の現状、今後の市場の見立てを正しく捉えられているか

  • 上記を踏まえ、今後の成長・目標実現へ向けた課題を抽出できているか

  • 課題に対する解(企画案/提案)が論理的かつ独自の視点・洞察を踏まえ、導出されているか

次に、「How:どのように伝えるか」ですが、「ストーリー・スライドによって、理解・納得感を醸成し、円滑な意思決定を促すことができているか」がポイントとなります。

  • 「解」がメッセージとしてシンプルに提示されているか

  • 納得感を醸成する話の流れとなっているか (論理に飛躍がなく、かつ根拠に漏れがないか、聞き手の前提知識・理解度を踏まえ、話の流れが構成されているか)

  • ボディの表現はシンプルで、一目で理解できるか


上記二つの要素が欠けている場合、次にお伝えする問題が必ず起こることになります。



「企画書」を作成する際に起こっている問題・課題