【最新版】経営陣・投資家に絶賛される事業計画書の書き方①:目的・内容




是非読んでほしい方


こちらの記事を是非とも読んでほしい方は下記の方々となります。必ずや今後の事業計画づくりに役立つことでしょう。

  • スタートアップでエクイティでの資金調達を検討されている起業家、経営層(COO/CFO 等)、経営企画部、財務部の方

  • 中小企業にて、資金繰りや事業拡大のために銀行からの融資を受けたいと考えている方

  • 大企業内にて、新規事業を検討されており、部長や役員等から承認を得たいと考えている方

上記の方々に限らず、これから事業計画書を作成をしていきたいと考えている方や企画系部署への転職を検討されている方には、とっておきの内容となっております。


当記事の目次は下記となっています。

  • 事業計画書とは何か/事業計画書の目的とは

  • どのような目次で事業計画書は書いていくべきか

  • 事業計画書をより魅力的にするには、どのようなスライドを作成していくべきか

  • 事業計画書を作成する上でのおすすめ書籍

読んだ後に何が得られるか


こちらの記事を読んだあとは、下記論点に対する答えを得られます。

  • 事業計画書に盛り込むべき内容は何か

  • 各章・各スライドでの最適な表現はどういうものか

  • 事業計画書を作成する上で注意すべきことは何か


目次に沿った具体的な中身の説明に加え、上場企業の公表スライドをサンプルとして実際に紹介しつつ、より魅力的に伝わるような事業計画書の書き方・作り方をご紹介いたします。



事例スライドから先に確認したい方は下記から


企画書自体の考え方を知りたい方は下記から



私はこれまでに外資系コンサルタントやフリーランスの経営コンサルタントとして、大企業~中小企業~スタートアップに至るまで、すべてのフェーズの企業を支援してきました。そこで、事業計画書作成を実際に手がけたり、事業計画書の書き方のコンサルティングを行なってきました。


より魅力的に映るような事業計画書作成のコツであったり、皆さまが実際につまづく箇所を熟知しておりますので、是非安心して当記事を読んでいただけたらと思います。事業計画書にとどまらず、企画人材の根本スキルである「企画書・提案書作成の考え方・実務」と「資料作成高速化」を伸ばしたい方には【個人利用】資料作成の実務を販売しております。資料作成力・ロジカルシンキング力を強化していきたい方、資料作成スピードを爆速化させたい方におすすめの内容となっておりますので、是非ご検討ください。



 

事業計画書とは何か/事業計画書の目的とは


事業計画書とは一言で、「事業の設計図」と言えるでしょう。既存/新規事業が「何を目的として事業を行なうのか」「当事業の儲けの構造はどうなっているのか」「将来的にどのような成長曲線を描くのか」等 が漏れなく記されていなければなりません。では、その「事業計画書」は何のために使うのでしょうか。メインで想定されるのは「社外の資金提供者からの資金調達」です。


スタートアップであればエンジェル投資家ベンチャーキャピタル、中小企業や大企業であればプライベートエクイティ等の投資家、銀行の融資担当者等が、事業計画書を説明する相手となります。「事業の設計図」を説明し、その事業の将来性を伝え、理解してもらうことが必要となります。つまり、将来性をどれだけ確度高く伝えられるかによって、事業に必要な資金を調達の可否が決まるということです。


その他には、「社内での新規事業立ち上げ」や「既存事業の成長推進」のための必要リソースの確保、それに係る決裁や社内人材の意識統一のために事業計画書は使われます。例えば、大企業は持続的な事業成長を実現するために、既存事業に加え、将来的な稼ぎ頭を構築していくことが、求められます。しかし、社内のリソースは限られているので、どの事業にどれだけのリソース(ヒト・モノ・カネ 等)を配分すべきか、日々経営陣・経営企画部の人材は頭を悩ませています。そこで必要となるのが、事業計画書となります。新規事業であれ、既存事業であれ、下記のような論点をおさえられていなければ事業投資のGo/No go判断を下すことはできません。

  • 新規/既存事業はマーケットから求められているのか/今後求められうるのか

  • 今後どのような成長が実現できそうか

  • 儲かる収益構造を構築できているのか/構築できうるのか

  • 今後、事業構築/さらなる拡大のためには、どれだけのリソースが必要なのか

ゆえに、事業計画書には意思決定に必要な情報が漏れなく入っていることが必要となります。さらに、必要な情報が入っているだけでなく、聞き手がすぐに理解しやすい見せ方ができているかが重要なポイントとなります。無駄に装飾を施したスライドやそもそも理解が難しい概念を分かりやすい形で伝えられていなければ、正しい理解を阻害し、適切な意思決定や判断ができなくなります。

どのような目次で事業計画書は書いていくべきか


目次には、基本的には下記の項目を盛り込みます。スタートアップの事業計画書や新規事業での目次を想定しておりますので、既存事業の事業計画書であれば前段のビジネスモデルまでは簡素でよいかと思います。



事業計画書の目次例

  • ミッション・実現したい世界観

  • 顧客が抱える課題・ペイン

  • ペインに対するアプローチ(提供価値の内容、価値提供の仕組み)

  • サービス/プロダクト概要

  • 収益モデル(≒儲けの仕組み、事業構造図)

  • トラクション(実績)

  • リカーリングモデルの場合 (MRR・ARR、ARPU (顧客単価)、顧客数、解約率/顧客継続率、NRR(売上維持率)、LTV(含. 粗利率)、CAC、LTV/CAC倍率 等)

  • セリングモデルの場合 (売上高・売上高成長率(CAGR)、粗利率、顧客数、営業利益率 等)

  • TAM/SAM/SOM(≒市場規模)

  • 競合状況・ポジショニング・競争優位性

  • コスト構造・貸借対照表・キャッシュフロー状況

  • 事業戦略

  • 3ヵ年計画 (売上高/MRR、ARPU (顧客単価)、顧客数、コスト、資金繰り、人員 等)

  • 必要リソース量

  • 組織体制・主要メンバー

  • 会社概要



事業計画書の中身としては何を盛り込んでいくべきか


それでは具体的に上記の各目次に沿って、どのような考え方で各目次の内容を検討していくべきかをご説明します。ざっくりと全体のストーリーはこうです。このような感じで、投資家でなくても一つのストーリーとして聞いていて飽きない流れを構築することが必要です。その上で、資金調達をしたいのであれば、「資金を喜んで出します!」というように、説得力のある形で話を組み立てていくことが求められます。


ミッション・実現したい世界観:
自分たちはこんな感じのすばらしい世界・社会をつくりたいんですよね
顧客が抱える課題・ペイン:
だけどいまは、こういう人が、こんなことにいまも悩み苦しんでいるため、
理想の世界には程遠いんです
ペインに対するアプローチ(提供価値の内容、価値提供の仕組み)・サービス/プロダクト概要:
しかし、なんと、そんなひとたちの悩みは今回自分たちが頑張って開発した画期的なサービス・プロダクトによって、解決できるんです(解決できそうです)
収益モデル(≒儲けの仕組み、事業構造図)それは儲けも生んでおり、ビジネスとしてしっかり成り立っています
トラクション(実績)いまはこれだけの人に使われていて、日々その数は爆発的に伸びているので、成長間違いなしです
TAM/SAM/SOM(≒市場規模)最終的にはこれだけの市場を獲得できうるほどに、自分たちが行なっている事業は将来性にあふれています
競合状況・ポジショニング・競争優位性:
蛇足かもですが、競合と比べたときにも、こんなに自分たちの事業は際立っているので、顧客から今後も選択され続けるでしょう
コスト構造・貸借対照表・キャッシュフロー状況
ちなみに、コスト構造、BSCFとしてはこんな感じなので、かなり健全です
事業戦略:
事業はイケてるのはお分かりいただけと思うので、もっと成長するために、これからこんな感じで攻めていきたいんですよね
3ヵ年計画:
それによって、今後これだけの収益が生まれるのは目に見えてます
必要リソース量:
しかし、それをやるにはこれだけのお金が必要なので、投資してくれませんか
組織体制・主要メンバー・会社概要:
ちなみに、自分たちはこういう魅力的なメンバーで会社運営しているのでよろしくお願いです


具体的にひとつずつ説明していきます。


ミッション・実現したい世界観:自分たちはこんな感じのすばらしい世界・社会をつくりたいんですよね


はじめに、自分たちが「何を目的に事業を行なっているか」を語ります。つまり、自分たちが事業を行なうことで「社会・世界がどのように変化していくのか」ということであり、自分たちの「存在意義」のことです。スタートアップであれば、投資家にとって投資判断を行なう上での条件の一つでもあります。

  • 「ミッションが投資に値するほどのものか」

  • 「中小企業で終わってしまわないか」

事業規模が大きくなると、単一事業だけじゃなく、新規事業を近接領域で始めることがあると思いますが、そのときに一つのよりどころとしてミッションがあります。理想の世界を作り出すために、営む事業および全体としての事業ポートフォリオそれに沿っているかという論点は常に意識しましょう。



代表的なミッションが、Googleのミッションです。

出所:Google HP



こちらはfreeeです。

出所:freee株式会社「2021年6月期 第4四半期 決算説明資料



こちらは上場企業ではないですが、とても好きなスタートアップ企業であるCaddiの事例です。

出所:キャディ株式会社「会社紹介・採用説明資料20218.24



顧客が抱える課題・ペイン:だけどいまは、こういう人が、こんなことにいまも悩み苦しんでいるため、理想の世界には程遠いんです


対峙している顧客は誰なのかを具体的に描きつつ、当顧客が抱える悩みを生生しく描き出していきましょう。ここで、「どれだけ深刻な悩み」か、それは「いますぐに取り除いてほしい痛みなのか(≒バーニングニーズ)」を語ることができているかどうかで、事業・サービスがどれだけマーケットから待望される存在なのかを示すことができます。「バーニングニーズ」については、下記のブログが、ものすごくわかりやすいので100回くらい読みましょう。


出所:Ryo Chikazawa Autify, Inc. CEO「顧客のBurning needsを解決する


下記はスパイダープラス株式会社の事例となります。建設業界を主戦場とし、建設業界が、「労働時間が全産業と比べ長いことに加え、さらなる人員不足が予測される」という課題をシンプルに2つのチャートで示しています。


①建設業は労働人時間が全産業と比べて長い

②建設業は2000年から2040年の予測にかけて就業者数が減少していき、人手不足化する

出所:スパイダープラス株式会社「FY2021.Q2 決算説明資料



こちらは企業と人材マッチングを運営するサーキュレーションです。

出所:株式会社サーキュレーション「2021年7月期 通期 決算説明資料




下記はヘルスケア系スタートアップのUbieの事例です。



出所:株式会社Ubie「We are ユビー




ペインに対するアプローチ(提供価値の内容、価値提供の仕組み)・サービス/プロダクト概要:しかし、なんと、そんなひとたちの悩みは今回自分たちが頑張って開発した画期的なサービス・プロダクトによって、解決できるんです(解決できそうです)


その上で、上記の悩みをダイレクトに取り除いてあげられるプロダクト・サービスなんだということをシンプルに伝えます。細かな機能の紹介ではなく、「どうだ、コアなペインに刺さっているぞ」ということを伝えることに集中してください。


下記はウェルスナビの事例ですが、対峙している課題は「資産運用の必要性が増大」→「しかし、資産運用をやろうにも難しいと思われがち」→「結果的に資産運用に資金は投じられず、預貯金として眠ってしまっていて、活かせていない」というものでした。これに対して、オンラインで簡単に資産運用を行なえるサービスを提供することで、上記課題の解決を図っています。



出所:ウェルスナビ株式会社「成長可能性に関する説明資料




下記はCaddiの事例ですが、「多重下請け構造」という課題に対して、「受発注プラットフォーム」を提供することで上記課題の解決を図ろうとしています。

出所:キャディ株式会社「会社紹介・採用説明資料20218.24

収益モデル(≒儲けの仕組み、事業構造図):それは儲けも生んでおり、ビジネスとしてしっかり成り立っています


ここまでできたら、その事業がどうやって儲けを出しているかを説明しましょう。「儲けの構造図」です。具体的には、「だれにプロダクト・サービスを提供し、だれから、どのようにお金を得ているか」理想だけ立派なプロダクトやサービスであってもしっかりと金稼ぎができていなければそれはボランティアです。投資家にとっては将来的な売却益(上場、事業売却)を狙っていますので、投資する事業がしっかりと儲けを出し、成長する見込みがなければ投資対象にはなりません。



出所:UZABASE「2021年第1四半期決算説明資料

こちらのスライドは、スパイダープラス事例となります。「建設工事会社」に、「サブスクリプション型の月額3,000円/ID」でクラウドサービスを提供しています。加えて、クラウドサービスとは別に、エンジニアリング事業として「熱絶縁工事」を建設会社に提供しています。

出所:スパイダープラス株式会社「FY2021.Q2 決算説明資料



こちらはサービスの収益モデルというより、より広い視点でのビジネスモデル、企業価値がいかにして増加していくかという視点での事業KPIの整理となります。どのようなドライバーを重視しており、そのドライバーをどのようにして動かして、企業価値を増大させていくかという方針が表現できればよいでしょう。

出所:ラクスル株式会社「2021年7月期決算説明会資料 第二部:ビジョン実現のための事業展開と蓄積し続けるアセット



より魅力的に映るような事業計画書作成のコツであったり、皆さまが実際につまづく箇所を熟知しておりますので、是非安心して当記事を読んでいただけたらと思います。事業計画書にとどまらず、企画人材の根本スキルである「企画書・提案書作成の考え方・実務」と「資料作成高速化」を伸ばしたい方には【個人利用】資料作成の実務を販売しております。資料作成力・ロジカルシンキング力を強化していきたい方、資料作成スピードを爆速化させたい方におすすめの内容となっておりますので、是非ご検討ください。




トラクション(実績):いまはこれだけの人に使われていて、日々その数は爆発的に伸びているので、成長間違いなしです


それでは次に、トラクションです。トラクションとは「成長の兆し」みたいなものです。売上高やMRRの伸び、顧客数の伸び等、定量的な数値で基本的には示します。まったくこれからの事業であればトラクションを示すことは難しいかと思うので、事業がこれからガンガン伸びますよということを証明する代替指標や材料を提示してあげてください。例えば、「LPへの事前登録者数」、「アンケート結果」、「想定顧客からの待望する声」等です。基本的には定量的な指標が望ましいですが、取得できない場合は顧客となりうる層からできる限り声を集めましょう。「ペインにげき刺さりしているんです。こんなに求められてるんです」ということが示せればよいです。




下記はfreeeの事例です。


出所:freee株式会社「2021年6月期 第4四半期 決算説明資料



下記はサーキュレーションの事例です。

出所:株式会社サーキュレーション「2021年7月期 通期 決算説明資料





TAM/SAM/SOM(≒市場規模):最終的にはこれだけの市場を獲得できうるほどに、自分たちが行なっている事業は将来性にあふれています


自らの事業が属している市場はどれだけ大きいか、実際に対象プロダクトをマーケットに投じたときに獲得できるうる最大の市場はどれだけか、そして自社が競合状況に鑑み獲得できうる市場はどの程度かを示しましょう。一般的に出回っているTAM/SAM/SOMの説明って非常にわかりづらいですよね。TAMとは、「Total Addressable Market」であり、自社が属する対象市場のあらゆるサービスの総需要の合計値となります。

例えば、物流・倉庫システム市場に参入するとした場合、当市場において参入している企業が展開しているビジネスの売上高の総和ということです。物流・倉庫システム市場では、ダイフクのように自動倉庫や自動搬送機を販売している企業もいるでしょうし、ハコベルのように荷主と運送会社をマッチングするビジネスを展開する企業もいるでしょう。TAMはそれら物流・倉庫システムといったときに括られるあらゆるビジネスの売上高の合計です。当数値を推計することは難しいので、調査会社が出しているレポートを参照するとよいでしょう。

次にSAMです。SAMとは「Serviceable Available Market」であり、具体的なサービスを展開した際に獲得できうる「最大の」市場規模です。例えば物流・倉庫システムの中で、「空き倉庫のマッチングビジネス」を展開するとしたときには、どのようなお金の取り方をするか次第で計算式は変わるのですが、プラットフォーム利用料をユーザーから徴収することとしている場合は、SAM=「空き倉庫」を利用する想定総ユーザー数×利用金額×プラットフォーム手数料という形で計算できます。

最後にSOMです。SOMは「Serviceable Obtainable Market/Share of Market」のことであり、実施にサービスを展開して「自社が」獲得できうる市場規模のことです。競合もいる中で、自社が市場の100%のシェアを獲得できることなどありえません。競合状況や代替製品の状況を見て、SAMに対して、あらゆるチャネルからユーザーにアプローチして、自社がどれだけ獲得できそうかということです。




スパイダープラスの事例です。


出所:スパイダープラス株式会社「FY2021.Q2 決算説明資料



下記はサーキュレーションの事例です。

出所:株式会社サーキュレーション「事業計画及び成長可能性に関する説明資料



競合状況・ポジショニング・競争優位性:蛇足かもですが、競合と比べたときにも、こんなに自分たちの事業は際立っているので、顧客から今後も選択され続けるでしょう


はい、それでは次に競合状況です。対峙する顧客セグメントに対して、同一セグメントを狙っている競合を洗い出しましょう。当競合のサービス内容および提供価値をつぶさに調べ上げ、自社の提供価値が特にすぐれているということ(競争優位性)、ペインに対する提供価値が異なるということ(ポジショニング)を示し、「自社こそ、顧客に熱狂的に求められる存在なのだ」ということをロジカルに伝えましょう。

新規事業や新規サービスを出す際に、「競合はいません。ブルーオーシャンです」と言ってしまう起業家の方がいますが、この世に競合のいないサービス等ありえません。本当にいないのであれば、まったく儲けの見込みがない市場なのか、規制でがちがちに固められていてただ単純に参入が不可能だということのいずれかでしょう。競合がいないということを言った場合、ただ単純に「リサーチ力のない起業家/事業家」だと思われます。


そして、その独自の提供価値を生み出す「バリューチェーン上・仕組み上」の独自の強み・優位性は何なのかを示しましょう。上記強み・優位性の模倣が困難であることを理由と共に示せるとなおよしです。下記はメドレーです。価格における優位性を定量的に示し、それを実現するうえでのバリューチェーン上の特長をシンプルに示しています。


出所:株式会社メドレー「2021年12月期 第2四半期決算説明資料


下記はfreeeのポジショニングのスライドとなります。

出所:freee株式会社「2021年6月期 第4四半期 決算説明資料



コスト構造・貸借対照表・キャッシュフロー状況:ちなみに、コスト構造やキャッシュフローとしてはこんな感じなので、かなり健全です


まずコスト構造です。具体的には、売上原価と販管費の推移ですが、それぞれ売上に対して、どのくらいの比率となっているかも示すと良いでしょう。より、具体的にコストの用途別で「①R&D」、「②S&M」、「③G&A」で三項目で示すとより親切です。

  • ①:Research and Development:研究開発に係るエンジニアの人件費や関連する経費及び共通費等の合計

  • ②:Sales and Marketing:販売促進に係る広告宣伝費やセールス人員の人件費や関連する経費及び共通費等の合計

  • ③:General and Administrative:コーポレート部門の人件費や関連する経費及び共通費等の合計 (freeeよりの決算説明会資料より引用)

次に貸借対照表とキャッシュフローですが、こちらは基本的な項目をあげておけばいいでしょう。CFであれば①営業キャッシュフロー、②投資キャッシュフロー、③財務キャッシュフローの3つの推移を示しましょう。




出所:スパイダープラス株式会社「FY2021.Q2 決算説明資料




事業戦略:もっと成長するために、これからこんな感じで攻めていきたいんですよね


競合の状況も踏まえ、次に自社として何に取り組んでいくのか(=事業戦略)をまとめていく必要があります。それでは、事業戦略っていったい何なのでしょうか。様々な言い方ができますが、「ミッション・ビジョン実現のための大まかな自社としての方策」であり、「競合に対する優位性を構築しつつ、顧客に継続的に選択しつづけてもらうために、どの市場において、どのような取り組みテーマ(マーケ、営業、サービス・プロダクト開発/改善 等)にリソースを集中させるか」という問いへの答えです。

事業戦略は単に、「ただやりたいこと」をまとめるだけではいけません。それでは競争に勝ち抜けるか/顧客から選ばれ続けるか、がまったくもってわからないからです。それは当たるかもしれないし、当たらないかもしれない。そんなものは博打であり、経営ではありません。戦略は外部環境(市場、顧客、競争環境)と内部環境(自社の活かせる強み、補強すべき弱み、保有リソース 等)を踏まえられたものでなければなりません。

特に、しっかりと顧客に向き合い、まずは顧客が抱えるペインにダイレクトに応えるサービス・プロダクトを構築していくべく改善を重ねていくこと、そして、競合の取り組みを見つつ、顧客にとってより魅力的に見えるように提供価値の差別化要素を際立たせていくことが何より大事な視点となります。各取り組みテーマが決まったら、それを大まかな時間軸を設定し、ロードマップ化しておきましょう。


まず、ラクスルの事例です。こちらは事業戦略というよりかはより上位の「全社戦略」を示す際に役に立つでしょう。複数事業を抱えている場合は、各事業をの自社の中でどのように位置づけて、それぞれどのような投資方針でリソースを配分していくかを示しています。



出所:ラクスル株式会社「2021年7月期決算説明会資料 第二部:ビジョン実現のための事業展開と蓄積し続けるアセット



下記はサーキュレーションの事業戦略の事例です。公開資料なので抽象度高く記載していると思いますが、実際の事業計画書ではさらに具体的に表現できればよいでしょう。




出所:株式会社サーキュレーション「2021年7月期 通期 決算説明資料



より魅力的に映るような事業計画書作成のコツであったり、皆さまが実際につまづく箇所を熟知しておりますので、是非安心して当記事を読んでいただけたらと思います。事業計画書にとどまらず、企画人材の根本スキルである「企画書・提案書作成の考え方・実務」と「資料作成高速化」を伸ばしたい方には【個人利用】資料作成の実務を販売しております。資料作成力・ロジカルシンキング力を強化していきたい方、資料作成スピードを爆速化させたい方におすすめの内容となっておりますので、是非ご検討ください。




3ヵ年計画:それによって、今後これだけの収益が生まれるのは目に見えてます


上記の事業戦略によって、どのくらいの時間軸でどれだけの売上/MRR、利益の創出が可能かを数値計画として整理しましょう。単純な上記トップラインの伸びだけではなく、ブレークダウンした各KPI(顧客数やARPU等)がどのような推移を見せるのかも示す必要があります。投資家が見るポイントは、「数値計画の妥当性」です。つまり、トップラインの構成要素である各KPIの設定値・動きが違和感がないかを事細かく確認してきます。その理由としては、当数値計画が投資の際に必要となる「株式価値」を算出する上での材料となるからです。


下記はラクスルの事例です。ラクスルは重視する事業KPIに「売上総利益」を掲げているため、売上総利益の中長期目標を掲載しています。

出所:ラクスル株式会社「2021年7月期決算説明会資料 第二部:ビジョン実現のための事業展開と蓄積し続けるアセット



次にPR Timesです。

出所:PR Times「Milestone 2025 中期経営目標説明資料




下記はメルカリです。

出所:メルカリ「FY2021.6 4Q決算説明会資料




必要リソース量:しかし、それをやるにはこれだけのお金が必要なので、投資してくれませんか


ここでは資金調達に必要な金額を定義します。必要資金額は、上記数値計画から算出されます。事業を拡大していく上でとる戦略によって、どれだけの追加人員が必要があるのか、どれだけの開発投資を行なう必要があるのか等を算出し、PL/BS/CFに落とし込んでいきます。上記結果を踏まえつつ、現預金残高がいつからどれだけマイナスを掘ってしまうかをみていき、いつまでにどれだけの資金を調達し、どれくらい延命させるかを判断していきます。事業単体で黒字化するまでの金額を必要調達額として設定してもよいですし、一旦延命し、トラクションを形成してから再度しかるべきタイミングで調達するというケースもあるでしょう。

ここは「事業計画書」に入れ込むかは議論がありますが、調達に係る主要ターム(調達時点での株式価値、主な条件、払込金額 等)を掲載する企業もあります。



出所:株式会社サーキュレーション「2021年7月期 通期 決算説明資料